14年選手で、自動お湯張りが不調になってきた我が家のエコキュートを、今年中に買い替えます。
今日は、機種選定の過程で目に留まった「おひさまエコキュート」について考えてみます。
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我が家の場合のエコキュート機種選定のポイントは、
・HEMSに対応していること(沸上運転・停止をこまめに遠隔操作したい)
・省エネなこと(今使っている機種と比較して)
・耐久性があること(これを最後の買い替えにしたい (^^; )
・容量370L(現状は460L、家族も減ったし、省エネにもなるし)
・フルオート(家族曰く「ボタンは1つ」w)
です。
各社の差別化ポイントとなっている、飲めるお湯、水圧、作動音、洗浄機能、入浴剤の種類、浴室暖房乾燥機との連動、井戸水可否、設置サイズなどは、我が家の場合は余り気にしません。
となると、6社ほどある国内メーカーのどの機種を選んでも差がなさそうで、
「たまたま、安売りしている機種で良いか・・・」
と思っていました。
そんな時、ネットの口コミや「つべ」の解説の動画を見ていた時に、
「おひさまエコキュート」
の文字が目に留まります。
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「おひさまエコキュート」とは、
従来、夜間の電力を使ってお湯の沸上を行っていたエコキュートを、
昼間の電力を使うように制御ソフトの設定を変えた製品です。
従来機が、安価な夜間電力でお湯を沸かしていたのに対し、
「おひさまエコキュート」は無料の太陽光発電電力でお湯を沸かすところが、
同機のアピールポイントとなります。
この製品の背景は、
・原発が稼働停止になって、夜間に安価な電力を提供出来なくなったこと、
・昼間に出力制限をするほどに、太陽光の発電量が過多となったこと、
に困った「大人の事情」により生み出されたと理解しています。
特徴は表1の通りです。
いつ自動沸上 | 夜間電力割合 | 自動沸上設定時間 | 光熱費節約の考え方 | コストアップ要因 | 想定している電力契約 | |
従来機 | 夜間 | 80% | 夜間に 4hr以上 | 安価な夜間電力を利用 | お湯切れすると、高価な昼間の電力で沸上が必要 | オール電化契約(夜間安価、昼間割高) |
おひさま | 日中 | 5% | 昼間に 4hr以上 | 無料の太陽光電力を利用 | 太陽光が不足すると、高価な昼間の電力の購入が必要 | 従量契約(時間帯によらず、平均的な単価) |
後述しますが、
従来機、「おひさま」ともに、ユーザーにとって困った設定なのが、
自動沸上の設定時間が最短でも4時間になっている点です。
この辺りにも「大人の事情」が垣間見られます。
以下、我が家には、どちらのエコキュートが向いているのかについて、定量的に検討してみます。
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我が家のエコキュートによる消費電力
「おひさまエコキュート」を導入しても、
余剰太陽光で給湯分の電力が賄えないと赤字になりそうです。
そこでまず、我が家の給湯分の消費電力を調べます。
HEMSに残ったデータから、我が家のエコキュート(夜間に沸上する従来機)の毎日の消費電力と稼働時間の年間推移を図1に示します。
やはり、寒い冬は消費電力が多く、夏はその約1/7まで消費電力が少なくなります。稼働時間も冬は夜間電力の提供時間である8hrギリギリまで稼働しています。
更に、12月~2月の三か月間は、外気温が下がるため、エコキュートが自動的に冬季モードでの運転に切り替わり、単位時間当たりの消費電力も多くなっています。
このエコキュートによる給湯のための消費電力を、オール電化契約の夜間料金で負担した場合の費用は、
年間 7.6万円
となります。
我が家の太陽光発電余剰電力
給湯に必要な消費電力がわかりましたので、
次に、供給側となる太陽光発電の余剰電力について調べます。
我が家には、容量6.7kWhの据置蓄電池があるため、
余剰電力量は蓄電池を満充電にした上で、
更に余剰する電力量となります。
蓄電池に天候変動分の余裕を持たせるため、
余剰太陽光電力での充電に割り当てる据置蓄電池の容量は、
総容量の8割となる、5.4kWhまでとしています。
図2に、我が家の場合の太陽光余剰電力量の年間推移を示します。
まず、真冬の12月から1月は全く電力が余剰しません。据置蓄電池にも1日で5.4kWhは貯まりません。真冬がオール電化には厳しい季節なのがお分かりになるかと思います。
同じく、梅雨、台風、秋雨の時期も厳しくなっています。
また、真夏は、太陽光パネルの壁温が高くなって発電効率が低下するとともに、冷房に電力を取られるため、やはり余剰電力は少なくなります。
結果、太陽光による余剰電力が潤沢にあるのは、
3~5月の春季のみとなります。
「おひさまエコキュート」は、余剰太陽光電力だけで給湯用の電力が不足する場合は、系統から電力を購入しますので、
果たして我が家では、「おひさまエコキュート」の導入で本当に黒字になるのか?、が心配になります。
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図3に、
我が家に「おひさまエコキュート」を導入した場合に、
系統から買う必要がある電力と電気料金の年間推移を示します。
比較として、
従来機での買電量、電気料金
も併記します。
やはり、「おひさまエコキュート」を使って、系統からの買電量が大きく減るのは、太陽光発電量が潤沢な春季のみとなります(図3の棒・青と棒・オレンジの比較)。
しかも、オール電化契約のままだと、年間の電力料金は、
・従来機(オール電化契約) 7.6万円(図3 折線・緑)
・おひさま(オール電化契約) 8.2万円(図3 折線・赤)
と、年0.6万円の赤字になってしまいます。
これは、オール電化契約の場合、昼間の電力単価が高いため、太陽光による買電量削減効果のない冬の買電負担が大きくなるためです(11月~2月までの、赤 > 緑 となっている部分)。
よって、「おひさまエコキュート」を導入する場合、
電力会社もメーカーも、従来の従量電力契約へ変更することを推奨しています。
従量電力契約に変更して、「おひさまエコキュート」を従来機と比較すると、
・従来機(オール電化契約) 7.6万円(図3 折線・緑)
・おひさま(従量契約) 6.2万円(図3 折線・紫)
となり、「おひさまエコキュート」の方が電気料金負担が年1.4万円少なくなります。
「おひさまエコキュート」のパンフには、
「従来機と比較して年間、8万円程度お得」
とありますが、これは、我が家の場合、1日、5.4kWhまでは、据置蓄電池に余剰電力を充電しているためで、この蓄電池充電分も「おひさまエコキュート」に回せば、謳い文句通りの電気代節約効果があるのかと。
でも、我が家の蓄電池導入効果は、12万円/年なので、
年8万円しか節約効果のない「おひさまエコキュート」に余剰電力を回すのは
損となります。
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しかも、我が家は、EVを夜間に安価に充電できるオール電化契約を維持したいです。
オール電化契約のまま、日中の余剰電力をエコキュートで消費して、
より節約効果を得るためには、
「太陽光電力が余剰したときのみ、昼間にエコキュートで余すことなく電力を消費し、それで不足する分の湯沸かしは、安価な夜間電力で行う」
ことが出来るのが理想です。
そこで、我が家の場合に、余剰電力がある時は昼間に余剰電力でお湯を沸かし、不足するお湯は夜間電力で沸上する場合の、それぞれの運転時間の年間推移を、図4に示します。
なお、「おひさまエコキュート」には、昼間に沸上するので夜のお風呂までの保温時間が短いなどの省エネ効果も謳われていますが、我が家には朝風呂が大好きな家族wも多いため、ここでは保温時間の効果は無視しています。
冬は太陽光の余剰電力が少ないため、殆ど全てのお湯を夜間電力で沸かします。
春は太陽光の余剰電力が潤沢にあるため、昼間の運転だけで賄うことが出来ます。
夏から秋にかけては、昼・夜ともに1~2時間程度の沸上運転を行うこととなります。
しかし、この図4のようなユーザーに都合の良い、理想的な低コストの運転が、
上述の「大人の事情」で出来ないようになっています。
もう一度、最初の表1を見ると、
従来エコキュートは、夜間に4時間の自動運転が、
「おひさまエコキュート」は昼間に4時間の自動運転が、
必ず行われるようになっています。
自動運転の開始時にタンクが一杯なら、自動運転の時間がいくらかは短くなるようですが、
図4のように、昼夜の運転時間を0時間+8時間にするとか、
1時間+1時間にするなど、柔軟に設定することが出来ないようになっています。
運転パラメータの入力可能範囲を変えるだけですので、出来ない筈はありませんが、
従来機、「おひさま」ともに、
自動運転での設定時間は最短でも4時間までとなっています。
どうも買電が必要以上に減ると困る方々が居られるようです。
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このジレンマに対応するために、
冬と春で、エコキュートの時計を調整することにより、
自動沸上運転が行われる時刻を、
疑似的に昼夜逆転となるように調整されている猛者の方々も居られます。
我が家も、HEMSでの運転時間自動調整が不調の場合には、
時計の調整も考えたいと思います。
以上、我が家では、
・オール電化契約を維持したいため、買い替えるエコキュートは従来機とする。
・冬は夜間の自動運転時間を8時間に設定する。
・春から秋は夜間の自動運転時間を最短の4時間に設定し、昼間も適宜手動で沸上させる。
こととします。
タンク容量が460L→370Lになるので、
消費電力も2割程度は省エネになるはずですし、
この14年間の効率改善にも期待しています。
そうか! エコキュートのソフトをhackすれば・・・・ ← こら!
では、今日はここまで!