三菱ekクロスEVが納車されました。
前車の日産リーフとの比較も交えながら、
各種感想や性能の実績について、
今後、数回に分けて紹介していきます。
今回は、その1回目、
試乗時から気になっていた、
両車の「走行モード」の違いについてです。
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昨今の乗用車には、
手元スイッチ等で切り替えられる「走行モード」が数種類用意され、
加減速特性、乗り心地、ハンドリングや
変速スケジュール、デフの設定、各輪へのトルク配分、
果てはデジタルメーター表示のデザイン・配色や
エンジンや排気のサウンドまで変化させる車種も出てきています。
余談ですが、
昨今のスピーカーで室内への音色を変える車種は
当初「さすがにやり過ぎだよ」とも思っていましたが、
いざ、その手の車に自分で乗ってみると、
加減速とエンジン音や排気音が連動していることで、
とても気分よく運転できることを、
思い知らされました。
(音色調整は、わたし的には「アリ」でした)
さておき、
特にEVは各デバイスの電動化も進んでいるため、
この辺りの味付けを比較的容易に変化させやすく、
ハイエンドな車種は、その演出が見せ所の一つとなっています。
で、ベーシックなEVであるリーフやekにも少ないながら
表1のとおり数種の走行モードが存在します。
日産リーフ | 三菱ekクロスEV | |
エコ | 有 | 有 |
ノーマル | 有 | 有 |
スポーツ | なし | 有 |
シフトBレンジ | 有 | 有 |
表1の通り、
リーフに「スポーツモード」が無いことだけが、
この部分での両車の違いになります。
両車とも走行モードを変えることで、
メーター内にモード表示が出るとともに、
私の拙い感覚ですが、
アクセル開度による加速・回生ブレーキの度合いを
変えているようです。
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以下、この走行モード関連での初期の感想です。
1.エコモードの考え方が異なる?
「エコモード」は両車とも航続距離を延ばすモードの筈ですが、
以下のような違いがあります。
ノーマルモードと比較してエコモードでは、
・リーフ 加速が弱くなる、アクセルオフ時の回生が強めとなる
・ek 加速が弱くなる、アクセルオフでの回生が無くなる(ほぼ惰性走行)
と、アクセルオフ時の回生ブレーキの効き方が大きく異なります。
エコモードでのekのアクセルオフ時の空走感が半端なくて
初めて試乗した時は驚きました。
かつての「オートマ車」は、皆こんな感じでしたが、
回生強めのリーフに慣れてしまっていると、
初めての下り坂で慌てそうですw
電車の力行・惰行も、このekのような設定ですので、
本来、省エネ走行ならekの惰性走行多用の方が正のような気もしますが、
リーフのエコモードでも電費は確かに良くなってました(ノーマル比、概ね1割程度)。
察するに、リーフのエコモードの考え方は、
・絶対的な走行速度は控えめで走った方が省エネ
(直ぐに回生が効くので、平均速度が遅くなりがち)
・加減速の多い街中や山道は、アクセルオフ回生多用の方が省エネ
(右足をアクセルからブレーキに踏みかえる時間が無駄にならない?)
を想定しているのかと。
一方、ekのエコモードの考え方は、
・空いている道を定速走行する
ような使い方を想定しているようです。
用途的には、ekよりもリーフの方が、
高速道を定速走行する機会は多そうですが、
アリア、サクラ、ekなどリーフ後継世代のEVでは、
エコモードはコースティング(惰性)走行を
積極的に活用して「(カタログ上の?)絶対的な航続距離を延ばすモード」
との考え方に方針変更しているようですね。
余談ですが、
このek・エコモードの「コースティング時」には、
ギアをニュートラルにして、
モーターを完全に止めているのかしら?
かつての「エコラン・テクニックw」ですが、
電気制御なら比較的容易にそこら辺を自動で出来そうですよね。
さておき、以上から、
ekでBレンジを使わずアクセルオフ時に回生ブレーキを効かせたい場合は、
・ノーマルモード 街乗りを想定して、アクセル開度では加減速中くらい
・スポーツモード 山道を想定して、アクセル開度では加減速強め
(ekのスポーツモードでも、リーフのエコモードよりは減速控えめかと)
を選択することとなります。
まあ、我が家で使うのは最初だけで、
いつの間にか「ノーマル」のままで切り替えなくなりそう・・・・・w
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2.「走行モード」切替ボタンが使いにくい(両車とも)
ekはこの「走行モード」の切替ボタンが
リーフと同じでハンドル右前下の見え難いところにあり、
運転中に切り換えることを想定してないのが共通した欠点です。
こう言った走りに関するモード切替のボタン類は、
ハンドルかシフトまわりに置いて欲しいところですよね。
両車ともに、
ワンペダル切替、電動パーキングブレーキ、
オート駐車のボタンで
シフト付近の土地が無くなってしまっており、
結果、現状の使いにくい位置に追いやられているようです。
リーフもオート駐車オプションの非装備車は、
シフト脇のベスポジにこの走行モード切替ボタンがあり、
メーカー側も
「走行モード切替ボタンは、やはりシフト側だよ」
と思ってはいるものの、
流行りの「オート駐車機能」には勝てなかったんでしょうね。
ekの走行モード切替ボタンの周囲には
・Pブレーキオートホールドスイッチ
・自動運転支援機能変更スイッチ
・トリップメーターリセットスイッチ
などが並んでおり、
「モード切替」と間違えて押しても、そこまで危険なことはありませんが、
ボタンの形状などを工夫して、
手探りでもモード切替しやすい設計にして欲しかったです。
マニュアルには、
「走行中にモード切替ボタンを注視しないこと」
との注意書きがありますw
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3.Bレンジの考え方は両車とも同じ
以上の通り、
走行モードで回生ブレーキの味付けを三段階に切り換えることが出来るekですが、
シフトをBレンジに入れた時にも、リーフ同様に回生ブレーキの効きを変更できます。
(この「B」は「ブレーキ」の意なんだそうですが、「バック」と間違える方も??)
リーフのBレンジは、
加速側の味付けは変わらずに、
アクセルオフ時の回生ブレーキが強めに変更されました。
この点はekも同様の考え方のようで、
Bレンジを選択すると、
アクセルオフ時の回生ブレーキがかなり強めとなります。
リーフ同様、山道の長い下り坂では便利なレンジかと。
リーフでは、回生ブレーキが発生している時に
ブレーキランプが点灯しているかを運転中には確認出来ませんでしたが、
ekにはブレーキランプインジケーターがあり、
一般道で確認したところ、概ね表2の通りでした。
操作 | ブレーキランプ 点灯有無 |
フットブレーキを踏む | 点灯有 |
Bレンジ、アクセルオフ | なし |
Dレンジ、エコモード、アクセルオフ | なし |
Dレンジ、ノーマルモード、アクセルオフ | なし |
Dレンジ、スポーツモード、アクセルオフ | なし |
(平地で、走行速度50キロ時から操作)
今回の時速50キロ程度からの減速では、
回生ブレーキによるブレーキランプ点灯が確認できませんでした。
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今回は両車の走行モードや
回生ブレーキの作動の違いについての
初期の感想を紹介しました。
より航続距離を延ばすために、
様々な工夫・改良がおこなわれているようです。
今後、長く使ってみてから、
また、感想を更新したいと思います。
次回は「パッケージの違い」について紹介します。
では、今日はここまで!