ekクロスEV 初期感想(その7、充電性能、バッテリークーラー) 2024年6月

我が家の新旧EV比較、
7回目は「充電性能、バッテリークーラー」です。

V2Hでの充放電効率などは次回にまわし、
今回は経路での充電性能やバッテリークーラーを中心にご紹介します。

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表1にリーフとekの充電に関する仕様と、この6月での実績値を示します。

 日産リーフ40三菱ekクロスEV
電池容量40 kWh20 kWh
急速充電Max充電速度 ①50 kW30 kW
30分実質充電量 ②18 kWh10.5 kWh
②×2/①72 %70 %
料金(D充電器)73円/kWh16円/kWh
普通充電Max充電速度 ①3 kW3 kW
30分実質充電量 ②1.5 kWh1.5 kWh
②×2/①100 %100 %
料金(eMP充電器)66円/kWh無料
自宅充電 (V2H)Max充電速度 ①6 kW6 kW
30分実質充電量 ②3 kW3 kW
②×2/①100 %100 %
料金(夜間料金)30円/kWh30円/kWh
料金(太陽光)無料無料
料金(実質)10 ~ 20円/kWh8 ~ 16円/kWh
表1 充電性能 仕様と実績の比較(リーフ vs ek)

1.急速充電
リーフは充電性能が カタログ値(表1の①)で最速50kW、
実運用(表1の②)では、30分間で条件が良ければ18kWh程度充電されました。

一方、ekは、充電性能①が 最速30kW、
実運用②では、この6月(気温20℃前後)に、SOC15%程度から充電した場合で、
30分間に10.5kWhまで充電されたのが最速でした。

このように、
絶対的な充電速度はリーフの方が5/3倍早くなっています。

一方、両車ともに、実運用での充電速度②が、
カタログ上の充電性能①の、7割程度となりました。

ご存じの通り、
リチウムイオン電池への充電は速度一定では行われず、
SOCが少なく、電池温度が適温(20℃前後)の時にのみ、
カタログ上の最高速度(表1の①)での充電が可能であり、
SOCが満充電に近づいてくると、
電位差が減って、物理的に電気の入りが悪くなるとともに
電池温度も上昇し、化学的に電池の劣化が進むため、
保護回路が働いて、充電速度を遅く制御します。

更に、もし満充電以上に電気を溢れさせてしまうと、
発熱や最悪の場合は電池が発火してしまうため、
満充電付近では更に充電速度を遅く制御します。

結果、カタログ上の最高速度での急速充電は、
最初の10分間、SOC上昇分にしてΔ20~30%までであり、
急速充電1口分に相当する30分充電での平均速度は、
この表1ように7割程度で頭打ちとなります。

満充電付近まで最高速を維持したまま充電できるようになると、
経路での充電時間を今よりも3割短く出来そうですが、
リーフから7年後に発売されたekでも、
まだこの辺りのブレークスルーを製品には適用出来ていないようです。

なお、表1の充電料金は、リーフはZESP3のプレミアム100、
ekは三菱の電動車両サポートのプレミアムにて、
ともに正規D設置の急速充電器を用いた場合の料金です。

ekの経路充電の「お値打ち感」がおわかりになると思います。

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2.バッテリークーラー
ekには、
リーフに無かったバッテリークーラーが装備されており、
急速充電による電池温度の過上昇を防いでくれるため、
長距離ドライブ時に、急速充電を繰り返した時に、
リーフの様にその日3〜4回目の充電辺りから
電気が入って行かないようなことがekでは無くなりました。

よって、我が家でリーフに設けていた
「長距離移動は半日で300キロまで」
の制限は、充電回数は多く必要とはなるものの、
ekでは、もっと長距離の移動も可能だと思われます。

そこで、このバッテリークーラー効果の検証に行ってきました。

図1と2はリーフとekで高速道路を長距離移動した場合の、
経過時間ごとの走行距離とSOCの変化の実績です。

図1 長距離走行時の急速充電性能(リーフでは4回目の充電付近から電池の熱ダレが発生する)

 

図2 長距離走行時の急速充電性能(ekクロスEVでは、電池の熱ダレが抑えられている)

リーフは最初の300キロまでは平均時速70キロを維持できるものの、
その後は電池が所謂「熱ダレ」を起こし充電時間までを含めた平均速度が
時速40キロ程度まで遅くなってしまいます。

一方で、ekは充電容量が小さいために充電回数は多くなるものの、
バッテリークーラーのお陰で電池の熱ダレが起きず、
結果、平均時速で約60キロをずっと継続できています。

ekで走行中や充電中にバッテリー温度計を見ていると、
40℃~45℃付近を頭に、
バッテリークーラーが作動し始めるようです。

ただ、巡航速度を120キロなどの高速で長時間走ってしまうと、
ekのバッテリークーラーは45℃付近に温度を維持することが
出来なくなってしまうようです。
そんな場合も、巡航速度を80キロ程度に抑えると、
すぐにバッテリー温度が30℃付近に落ちてくれていました。

どうやら、
ekのバッテリークーラーの設計上の巡航速度は
時速100キロが上限付近になっている模様です。

結果として、400キロよりも遠方へ行くなら、
リーフよりもekの方が早く到達できることになりますね。

また、充電回数が10回近く必要にはなりますが、
半日で800キロの強行軍もekなら不可能ではないかと (^^;

800キロ走行する場合の充電の回数も、
リーフのお代わり充電を考慮すると、両車でほぼ同じ回数になります。
バッテリークーラーは、リーフ→ekでの最高の改善点でした!

車格や用途的にはリーフにこそバッテリークーラーが必要ですから、
そろそろシルエットなども公開されつつある次期リーフには
きっと装備されることになるでしょう。

なお、ekは高級EVの日産アリアとは異なり、
バッテリーのヒーターは装備されていないため、
冬の寒い明け方などに、寒さで急速充電が入って行かないケースは
回避できません。

懸案の熱ダレ問題が解決されたekの冬の充電性能については、
今年の冬に紹介させていただきます。

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3.普通充電
ekの普通充電性能はリーフと全く同一で、
1時間に約3kWhが充電されます。

リーフにはオプションで、
1時間に約6kWh充電できる車載充電器を装備することもできますが
(リーフe+には標準装備)、
ekには、そのオプションはありません。

普通充電は、急速充電と異なり低い電圧でゆっくり充電していくため、
急速充電で起きるようなSOC上昇に伴う充電速度の頭打ちが、
満充電付近を除き殆ど発生しません。

表1の通り、三菱の充電カードは、
プレミアム契約なら普通充電の時間・充電量の上限が無いのも嬉しいところです。
ショッピングモールで買い物中に普通充電させておけば、
車に戻るとSOCがΔ50%も増えており、
とても得をした気分になります (^^;
(単に電池が小さい所為なのですが・・・・・w)

4.V2H充電
ekのV2H関連の詳細は次回にお話ししますので、今回は概要だけ。

自宅のトライブリッドT3でのEV充電は、
普通充電ポートではなく、急速充電ポートを使用します。

よって、充電速度上限はT3の充電器性能に由ることとなり、
経路での普通充電の倍の6kWの速度で充電出来ます。
ここも、リーフとekで差はありません。

自宅の太陽光、夜間電力などで充電した場合の料金は、
この6月の実績から
ekはリーフの約2割安価に充電出来ています。
ekでの安価順に充電料金を並べると、
 ・太陽光、普通充電 = 無料
 ・三菱Dの急速充電 = 16円/kWh
 ・夜間電力     = 30円/kWh
となりました。

三菱Dでの急速充電は、
太陽光の余剰電力によるEV充電が殆ど期待できない冬場などなら、
自宅のV2H充電よりも安価でEVに乗れそうです。

5.充電ポートの位置
リーフはご存じの通り、フロントボンネット前端に
急速充電、普通充電のポートがあります(図3)。

図3 リーフの充電ポート位置での充電事情(フロントボンネット)

充電関連の機器が設置されている
ガソリン車で言うところのエンジンルームに近い場所であり、
充電設備側もGSのようなドライブスルー式の充電スペースを設けずに済む、
なかなか理にかなったポート位置でした。

ただ、充電時に前向き駐車をする必要があり、
左右幅が狭めの日本の駐車スペースだと、
停める時も出る時も結構苦労します。

我が家のV2Hの充電器も駐車場奥に設置してあり、
リーフはいつも前向き駐車でした。
(私が帰宅時はいつも「お尻」でお出迎えw)

一方、ekは、右後フェンダー(図4)に、
急速充電、普通充電のポートがあります。
一般的なガソリン車の給油口とほぼ同じ位置かと。

図4 ekクロスEVの充電ポート位置での充電事情(右後フェンダー)

私は日本ではこの位置が
EV充電ポートのベストだと思っておりました。

憧れの後ろ向き駐車で我が家の駐車場にも停めることが出来ましたし、
帰宅時も「お顔」を見せてくれますw

ただ、盲点が一つ、
普通充電のようにコネクタが小さく、
ケーブルも細ければあまり問題にはならないのですが、
V2H用のCHAdeMO用コネクタとケーブルだと、
車の右側へ太いケーブルが大きく張り出します。

普通に右隣の車に寄せてekを停めてしまうと、
人が通れなくなりますねw

真後ろのナンバープレート付近に充電ポートがあればこの問題も解決?
いや、ハッチバック車にはその配置は厳しそうです。

メルセデスの初期PHEVが後ろコーナー付近に充電ポートを設けていましたが、
後方から衝突されて破損すると即、充電が出来なくなりますし、
修理のコストもかさみそうです。

その点、テスラはポートの位置(左後フェンダー)も、
NACSコネクタの大きさやケーブルの太さも良く考えられています。
(大量解雇?・・・・・北米標準を勝ち取ったのにねぇ)

幸運にも我が家の駐車場は横幅が狭いものの前後には長いので、
右隣の車よりも後ろ寄りにekを停めることで、
この充電コネクタ・ケーブル干渉問題を回避しています。

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以上、リーフとekの
「充電性能」を比較してみました。

前車のZE1リーフから5年後に発売されたekクロスEVでしたが、
充電上の大きな改善点はバッテリークーラーが追加されたことでしたv

次回はekクロスEV初期感想の最終回として
「V2H」について紹介します。

では、今日はここまで!

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