トライブリッド導入1年を総括 2022年10月~2023年9月

ニチコンのトライブリッドT3を導入して1年が経過しました。
この1年の使用感、実績などをご紹介します。

0.目次
 1.各機器仕様(太陽光、蓄電池、EV、HEMS、ネット接続、電力契約など)
 2.1年間サマリ(発電量、自給率、充放電量、収支、トラブルなど)
 3.太陽光部(発電効率、年間性能など)
 4.蓄電池部(SOH、充電速度、効率など)
 5.V2H部(充電速度、効率、EVとの相性など)
 6.その他部(HEMS連携、メンテナンス、ネットサービスなど)
 7.全体的な感想(良かったところ、改善を望むところなど)
 8.今後の予定(機能アップ、買い替えなど)

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1.各機器仕様 設置までの流れはこちら

太陽光パネル容量・設置方法 2010年春に設置
 三洋電機、HITパネル
 5 kW(0.21 kW×24枚)  
 東西切妻屋根に12枚ずつ設置
蓄電池容量 2022年秋に設置
 ニチコン、ES-T3M1
 公称容量 7.4 kWh  
 定格容量 6.8 kWh  
 実効容量 6.4 kWh
V2H部 2022年秋に設置
 ニチコン、ES-T3V1  
 スタンド一体型
接続EV 2022年初夏に中古購入
 日産リーフ、ZE1、2017年  
 電池容量 40 kWh
 リーフ使用1年の総括はこちら
パワコン 2022年秋に設置
 ニチコン、ES-T3
ネット接続方法 有線LAN接続  
 使用ルーター、NEC製
使用HEMS 2022年12月から使用開始
 Nature Remo E
系統電力契約 大手電力オール電化契約
 容量10 kVA
余剰太陽光売電契約 大手電力へ売電  
 売電単価 8.5 円/kWh
表1 各機器仕様など

2.1年間サマリ
(1)各電力量の年間最高値(1hr平均)
  ・買電量(夜間)   9.38 kWh(真冬深夜の沸上+EV充電の時)
  ・買電量(朝晩)   3.90 kWh(冬、夜の家事時間帯、EV不在 ※)
  ・買電量(昼間)   1.20 kWh(冬、終日雨、EV不在 ※※)
  ・売電量       2.70 kWh(5月上旬快晴時の正午頃)
  ・太陽光発電量    3.91 kWh(5月下旬快晴時の正午頃)
  ・蓄電池充電量    2.97 kWh(深夜充電の時)
  ・蓄電池放電量    3.02 kWh(夜の家事時間帯)
  ・EV充電量     5.53 kWh(深夜充電の時)
  ・EV放電量     5.03 kWh(夜の家事時間帯)
  ・消費電力量(朝晩) 5.03 kWh(夜の家事時間帯)

  ※ EVは最高 6 kW 近くまで放電できるが、
    据置蓄電池は最高 3 kW までしか放電できないので、
    EVの帰宅が遅い日の夜の家事時間帯に買電が発生した。

  ※※ 真冬で終日天気が悪く、かつEVが不在だと、
     お昼頃に暖房で据置蓄電池の電気を使い切ってしまい
     高額な「昼間」時間帯に買電が発生した。
     (この1年でこの記録の日のみ、下図1)

図1 「昼間」時間帯での買電電力量(冬、雨天時に「昼間」での大量買電が発生)

(2)太陽光発電量、電力自給率(カッコ内はT3導入前の旧機器での数値)
  ・年間太陽光発電量 約 5600 kWh(約5000 kWh)  → 図2
  ・平均電力自給率  約 35 %(約 20 %)      → 図3

     図2 太陽光 年間発電量
       (オレンジ線はT3導入前の旧機器による一昨年度分)
     図3 太陽光発電自家利用による電力自給率
        (青が買替前旧機器、オレンジが蓄電分も使えるT3

(3)売電量・収入(カッコ内はT3導入前の旧機器での数値)
  ・年間売電量  約 500 kWh(約 1750 kWh) → 図4
  ・年間売電収入 約 4000 円(約 15000 円)

     図4 余剰太陽光の系統への売電量
       (T3は余剰太陽光電力を蓄電出来るため売電量が激減)

(4)買電料金(従量分、カッコ内はT3導入前の旧機器での数値)
  ・年間買電量  約 9000 kWh(約 12500 kWh) → 図5
  ・年間買電料金 約 15.5万円(約 24万円)

      図5 T3導入前後の買電量比較
        (蓄電池導入により高単価の青:朝晩・橙:昼間時間帯の買電が激減、
         従来の売電分を自家利用出来るので買電量も減らせている)

(5)充電量(余剰太陽光+深夜電力+経路充電) → 図6
  ・年間据置蓄電池充電量 約 2150 kWh
  ・年間EV充電量    約 6400 kWh(自宅+経路)

     図6 充電電力量(据置蓄電池、EV)

(6)投資回収状況 → 図7、詳細はこちらこちら
  ・導入時投資額 160万円
  (T3・60万:補助金差引自己負担分、EV・100万:ガソリン車との購入差額)
  ・1年目回収額  32万円
  (1年目実績、EV 20万円、T3 12万円)

      図7 T3とEVの投資回収状況
         (導入から4~5年で回収の見込み)

(7)トラブル等(1年目実績)
  ・機器の故障は特に無し
  ・出張作業によるソフト改修      ×1回(臨時)
  ・オンラインによるソフトアップデート ×1回
  ・オンラインによる定期メンテナンス  ×1回(計画通り)
  ・過負荷によるパワコントリップ    ×数回(冬季のみ)
  ・低温時の充電速度低下        ×数回(冬季のみ)
  ・EVとの接続不良          ×数回
  ・EVがあると「AI自動制御」が誤作動(仕様とのことで使用中止)

3.太陽光部
(1)旧パワコンと比較して発電効率がアップ
  ・年間発電量が導入前の約 5000 kWh → 約 5600 kWh へ約 10 % アップ
  ・10 %の内訳は、
    3.3 % が年間日射量の増加分(2022年 vs 2023年)
    6.7 % がパワコンの性能アップによるもの(図8)

  図8 パワコンの太陽光発電性能アップ(三洋電機 → ニチコン)

(2)年間発電量の特徴
   我が家の地域の太陽光発電の特徴を下表2に示す。

  表2 我が家の地区の太陽光発電の季節ごとの特徴

記号(①~⑧)の説明など、詳細はこちら

4.蓄電池部
(1)SOH劣化
 この1年で、約 9 % のSOH劣化が据置蓄電池に見られた。
 この1年での充電サイクルは、約 450サイクル
 (冬季2サイクル/日、その他の季節1サイクル/日)

 図9に1年目のSOH劣化を示す。詳細はこちら

     図9 据置蓄電池SOH劣化(導入1年目、満充電までの所要電力量で算出)

(2)据置蓄電池への充電速度
  ・Max 2.97 kW(概ね仕様 3.0 kW 通り)
  ・ただ、冬季(12~2月)に
   Max 0.7 kW 程度に制限されたことあり、詳細はこちら

   マニュアルには「低温時に充電速度制限ある」との記述もあり、
   今後も継続的にWatchしていく。

(3)据置蓄電池の充放電効率(我が家の使い方の場合)
  ・平均 87 %
   深夜電力充電→昼間放電でもギリギリ元が取れる性能

5.V2H部
(1)EVへの充電速度
  ・系統電力のみ  Max 5.53 kW
  ・蓄電池併用   Max 8.5 kW

  ともに、概ね仕様通り。
  こちらは、冬季でも充電速度制限は見られていない。詳細はこちら

(2)EVの充放電効率
  ・平均 70 %
   2023/7の電力料金値上げ後は、深夜電力充電→昼間放電すると赤字になる性能、
   そのため、我が家では無料の太陽光による充放電限定でV2Hを運用している。
   詳細はこちら

(3)EVとの接続(コネクタ・ケーブル使い勝手など)
  ・ 我が家は屋外青空ガレージで
     接続部の防水ケアは全く行っていないが、
     今のところ、V2H・EVともに問題なし。

  ・ ロック解除ボタンがやや小ぶりだが、軽くて節度感も良く使いやすい

  ・ 年に数回、接続エラーとなる
    (不具合ではなく、ロックを確認せずに運転スタートする使用者側の問題)

  ・ ケーブルがやや硬いが、ケーブルを伸ばさず使う分には許容範囲
    (EVコネクタが遠くて、毎回伸ばす場合には、都度ケーブルを纏めるのが大変そう)

  ・ 一体型はコネクタのホルダーが金属製で、毎回「カランカラン」と接触音が出る
    (住宅地で深夜に使うと気を使いそう、田舎の我が家は問題なし・・(^^; )

6.その他部
(1)リモコン部(機能、使い勝手など)
  ・× スマホで遠隔モニタや操作出来る機能は、ニチコン純正では用意されていない
     (社外製のスマホHEMSを使うと、全機能の7割程度の操作は可能)

  ・ ホーム画面の各機器間の出力の流れ、蓄電容量などは直感的でわかりゃすい

  ・ 各機器の設定も、ホーム画面のアイコンから辿れるので便利

  ・ メニューの階層が整理されておらず、たらい回しになることもあり
    (例えば、EVロック・解除はEVのアイコンからではアクセスできない)

  ・ リモコン画面を連続表示に出来ない
     表示させるには、いちいち画面にタッチする必要あり
     最長で10分間表示まで(スクリーンセーブのため?)

  ・× 標準付属のUSB無線LANアダプタは接続が不安定で頻繁にハングする
    (我が家では有線LAN接続に変更、その後は安定している、詳細はこちら

  ・× エラー表示の説明が薄く、何がエラー原因なのかの情報は得られない

  ・× 放電の優先順位は変更できるが、充電の優先順位が変更できない
    (EV接続中は、深夜・太陽光によらず充電は必ずEVから先に行われる
     EV未充電トラブルを避ける仕様のようだが、
     EVよりも蓄電池の方が充放電効率が高いので、
     EVを使用しない時は、蓄電池充電を優先としたい)

  ・ 深夜電力による充電上限で「0%(つまり充電しない)」が選べない
    (蓄電池もEVも必ず20%までは充電されてしまう、
     別メニューで充電しないように設定出来るが、いちいち面倒)

  ・ USBメモリによるソフトアップデートに時間が掛かる、詳細はこちら
    (旧機種のマイクロメモリカード経由よりは、これでも早くなったとのことだが)

(2)HEMSとの連携(Nature Remo E活用)、詳細はこちら
  ・ ECHONET Lite規格準拠の標記HEMS機器を使うと、
     スマホから遠隔で、T3のリモコンをモニタ、操作が一部可能となる。

  ・× ただ、どちらの不具合なのか、相性なのか、
     EVコネクタのロックと解除が遠隔で操作できない
    (省エネマネジメントのためにはぜひ遠隔操作したい機能)

  ・× また、当然だがT3専用ソフトではないため、
     深夜充電率の変更、放電優先機器の切り替えなども行えない。
     ここは、ニチコン純正の遠隔モニタ・操作用スマホソフトを熱望!
     (旧、EVPS機には純正ソフトが用意されていたのに・・・・)

(3)メンテナンス(定期、臨時)
  ・ 年に1回のネット経由の定期メンテナンスは、
     動作自体は問題なく進むが、
     メンテ予告の表示を見逃すと、3カ月先送りになってしまう。
     もっと、メンテを主張するような表示にしてほしい。
     詳細はこちら

  ・× 定期メンテの結果は何も教えてくれない。
     せめてSOHぐらいは知りたいところ。

  ・ ソフト修正など臨時のメンテは出張作業となる、詳細はこちら
     作業予告がDM経由、作業予約が電話経由なのでやや煩雑、
     作業時間も数時間とやや長め

(4)AI自動制御(天気予報による深夜充電量の自動調整)
   翌日の天気予報から、前深夜の充電量を調整するネットサービス

  ・ 据置蓄電池での使用の場合、充電量が絶妙に調整されて、
     売電や買電が最小に抑えられる優れもの

  ・× ただ、EVが接続されていると、
     充電優先がEV固定のため、
     翌日の天気予報でEVの深夜充電量が調整されてしまい、
     翌朝、EVが未充電などの憂き目に遭う
     ニチコン「仕様の通りです」とのことで、我が家では使い物にならず使用中止
     詳細はこちら

(5)運用データのネット保管・閲覧(ニチコンオーナーズ倶楽部)
   リモコンをネットに接続しておくと、
   太陽光、蓄電池、V2Hの運転状況、買電量、売電量、電力消費量などを
   毎時記録してくれ、ネット経由で閲覧、ダウンロード出来るサービス(10年間)。

  ・ データが可視化出来るので、
     どうすれば省エネ、投資回収が出来るのかの分析にとても重宝

  ・ データのメッシュが「毎時」なので、瞬間値などは分析出来ない

  ・ 日々データのダウンロードは、翌日深夜1時以降に可能
     更新間隔は1日毎で、リアルタイムな作動モニタには使えない

7.全体的な感想
(1) 電力ソース切替はシームレス
     系統、太陽光、蓄電池、EVなど、
     今、どの電気を使っているかが全く分からないほどに、
     電力ソースの切り替えはシームレスでしかも自動。
     同様に、売電、充電の切り替えもシームレス。
     HEMSを使えば、手動で切り替えることも可能。

(2) 作動音静か、ノイズなども問題なし
     V2Hスタンド、蓄電池、パワコン付近で耳を澄ましても、
     作動音は殆ど聞こえず。
     テレビ、携帯、無線LANなどへのノイズ干渉も見られない。

(3) 太陽光の発電効率がアップ
     導入前に使っていた三洋製のパワコンと比較して、
     ニチコンのパワコンは 6 ~ 7 %の発電効率がアップしている。
     ニチコン設計が良いのか、経年変化なのかは
     今後の長期利用でフォローする。

(4) 節約効果が可視化され、省エネ意識高まる
     ネット経由で運転実績がダウンロード出来るので、
     省エネ、投資回収のための方策が練りやすい。

(5) スマホによる遠隔モニタ・操作は純正ソフトが欲しい
     社外HEMSで似たようなことは出来るが、
     汎用品のため、T3の全機能の遠隔操作が出来るわけではない。

(6) EVとの充放電効率は更なる改善を! 詳細はこちら
     現状の充放電効率(平均 70 %)では、
     電力料金値上げにより、深夜電力充電→昼間放電では赤字になる。
     EV側の改善も必要だが、充放電効率で平均 85 %は欲しい。
     T3では無理でも、
     今後の機種ではEVメーカーと協力しながら、
     毎年1%ずつでも改善していって欲しい。

(7)× AI自動制御は使い物にならず 詳細はこちら
     EVが接続されていると上述の通り使い物にならない。
     据置蓄電池の深夜充電量のみを制御するように改修を望む。
     ニチコンは「考慮します」とのこと。

     9/25追記)
      ・EVの電池残量に影響を及ぼさない改修 2023年秋リリース予定
      ・EVまでAI自動制御を行うサービス   2025年夏リリース予定

8.今後の予定
(1)蓄電池の買い増し

   回答 NO

   2台目の蓄電池に充電出来るほど太陽光発電が余剰出来そうな期間が、
   1年の内、春~夏の数カ月しかなく、宝の持ち腐れになるため。
   詳細はこちら

   太陽光パネルが現状の倍の 10 kW あれば、
   春~夏は深夜電力も買わずに済む自給自足生活も夢ではないが、
   太陽光パネル+蓄電池増設の投資回収に10年~20年掛かるので、
   現状では食指動かず。

(2)EVの買い替え

   回答 4年後頃に予定

   リーフの投資回収にあと3,4年掛かるため。
   「ミニアリア」と噂の次期リーフにするか、
   「サクラ」の中古を狙うかは、
   その時の生活パターンと相談する。

(3)エコキュートの交換

   回答 そろそろ?

   一部機能(風呂へのお湯ハリ)が使えないなど、
   13年目選手のため、ヘタって来ているようだが、
   給湯とお風呂沸かしは可能なので、
   二の足を踏んでいる。

   最新機種はHEMSとの連携も出来るので、
   余剰電力を見ながら沸上するなども可能なのだが・・・・

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以上、トライブリッドT3導入からの1年を振り返りました。

当初目論見の光熱費節約はEVとの合わせ技で順調に達成できており、
今後10年規模で故障なく動いてくれることを祈るばかりです。

今後も活用状況を紹介していきます。

では、今日はここまで!

 

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