往路と復路で電費が違う 2022年6月

前回まで
近場の足用としてEVを導入。

EV一般としての良いところ、困ったところや、
リーフのパッケージとしての不満点なども見えてきました。

標高の影響が見える
リーフは、走行の情報

 ・どこを走ったか?
 ・走行距離は?
 ・その時の消費電力は?

などの情報どを都度サーバーに記録しており、
ユーザーはそれらの情報をダウンロードできます。
(NissanConnectへの契約が必要)

リーフを日々の足で使うようになり、
今後のランニングコストの試算をしようとした時に

「行きと帰りで、かなり電費(km/kWh)が違う」

ことに気がつきました。

?・・・・片道だけ高速使ったりした?
それともエアコンだけでこんなに違うのかしら?

そこで、日産のデータベースから、
実際の電力使用量と
電費一定モデルとの電力使用量の
相関を取ってみると、下図1の通りでした。

図1 電費一定モデルとの相関

決定係数が 0.95 もあり、そこそこの相関ではありますが、
個々のバラツキを見てみると、
消費電力が倍半分のケースもあり、
何か、消費電力を大きく左右する因子があるようです。

で、ネットの書き込みを見てみると、
標高差の影響も大きいとのこと。

これ、別にガソリン車でも、
坂を登る時の方が燃費は悪くなりますが、
リーフはそれがデータで見えるのと
航続距離が絶対的に短いため、
電費への標高差の影響をより意識するようになります。

言われて我が家のリーフの日々の使用経路を見てみると、
始点と終点で、かなりの標高差があることがわかり、
これが、往復での電費に影響を与えていました。

でも、これって例えば、
行きが下り坂で、目的地までに電池の半分を使ってしまうと、
復路は途中で充電しないと帰って来られないことになりますね。
(もし僻地なんかだったりすると怖いことに・・・・)

こう言った配慮は、ガソリン車では気にしませんでした。

標高差の消費電力への影響
これは、もう物理ですので、数式に纏められます。

九州工業大の田之上さんらによる

平成 27 年度 電気・情報関係学会
九州支部連合大会での講演論文

「垂直方向電費計算に基づく地理情報を用いた
電気自動車電力輸送可能量の推定」

が良くまとまっていましたので参考とさせて頂きました。

この論文から、
 EVの消費電力は走行速度を同一とした場合、
 走行距離x と 標高差h の関数であり、
 途中の勾配の角度や回数は大きな影響を与えない、
と読めます。
標高差分の垂直消費電力が、距離分の水平消費電力に加算・減算されるため、
単位走行距離あたりの消費電力が変化し、結果電費が増減することになります。

と言うことで、論文に倣って、
我が家のリーフでの、標高差と垂直方向消費電力量を
図2にプロットしてみました。

図2 標高差(横軸)と垂直消費電力量(縦軸)の関係

まだ、結構バラついていますが、
途中の勾配の角度とか、
何回峠があったかなどは考慮しなくても、
スタート点とゴール点の標高差だけで、
標高差による電費への影響は概ね整理できそうですね。

この標高差補正を入れたモデルで図1を書き直したのが図3です。
バラツキが減って、決定係数は 0.988 まで上がりました。

図3 標高差補正モデルとの相関

以上から、我が家の40kWhリーフの場合、
標高差100mの登りで、
平地走行と比較して電池の消費は読みで1.3%増える
(例えば、平地で電池10%消費なら → 電池11.3%消費になる との意味)
と整理されました。

次回予告
標高の影響だけでは、
まだデータがバラついているので、
他の影響因子を分析してみます。

では、今日はここまで!

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