先日は、1月初旬時点でのEV急速充電器の
設置シェアを纏めて紹介しました。
今回は、同じデータを使って、
2009年の三菱のi-MiEV発売(初代リーフより発売が1年半早かった)
から最近までのEV充電器シェアの変動を紹介します。
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なお、今回の図の共通的な補足として、
・縦軸は設置基数(設置口数ではない)、
・横軸は設置登録の順番(設置時期ではない)
となっています。
データソースは、
株式会社e-Mobility Powerウェブサイト
です。
今回もEV利用者の要望をいろいろ書いていますが、
設備投資は企業への大きな負担であり、
そう簡単なことではありません。
勝手な物言いについては最初に謝っておきます。m(_ _)m
1.急速充電
まずは急速充電器です。
図1は施設カテゴリ別で整理したEV急速充電器の設置基数推移です。
前回ご紹介した通り、自動車Dが圧倒的に多く、しかもコンスタントに設置基数が増加しています。引き続き頑張って欲しいものです。
以下、コンビニ、道の駅、大規模店舗、自治体と続きます。
急速充電は30分単位ですので、比較的利用者の回転が早いコンビニのような施設への設置が向いています。
一方で、ホテル、ゴルフ場、パチスロ、飲食店など、利用者が長く滞在する施設に急速充電器は向いておらず、その傾向もこの図から見て取れます。この辺りは、後述の普通充電器の整理で見事に傾向が逆転しますのでご参照下さい。
自動車D以外の動きを見るために、図1で自動車Dの数字を消したのが、次の図2です。
黎明期を下支えしてくれたコンビニの急速充電器はこの10年ほど新規の設置基数が伸び悩んでいましたが、前回ご紹介した通り、ファミマを中心に新規設置の第二波が到来しています。
また、ガソリンスタンドのENEOSが、新サービスを立ち上げて設置基数を増やしてきていることも見て取れます。Amazonのギフトカードに目が眩んで私も使って見ていますが、未だ当選したことがありません。(術中に・・・・・w)
お次の図3は、自動車D別で整理したEV急速充電器の設置基数推移です。
発売が1年半早かったi-MiEVのために、当初は三菱Dが設置基数でリードしたものの、初代リーフ発売を機に、日産Dが一気に逆転し、その後もTopの座に君臨しています。
日産D以外の動きを見るために、図3で日産Dの数字を消したのが、次の図4です。
PHEVで頑張る三菱Dがコンスタントに設置基数を増やしており、
以下、自社のEV発売を機に各自動車メーカも急速充電器の設置を開始して現在に至っています。
「全国5000のディーラーに、急速充電器を設置する」とアナウンスしたトヨタですが、設置基数の爆発的な増加は、まだ見られません。前回ご紹介したスズキDがここに来て仲間入りしています。
次の図5はコンビニ別で整理した急速充電器の設置基数推移です。
やはり、ファミマが設置基数で圧倒しており、最近になって、設置第二波が訪れていることもわかります。
三位のセブンが、漸く最近になって急速充電器の設置基数を増やしてきており、二位のローソンに迫る勢いです。ローソンはこのところ殆ど設置基数が増えず、何とか盛り返して欲しいところです。
次の図6は、充電ネットワーク事業者別に整理した急速充電器の設置基数の推移です。
この「ネットワーク事業者」とは、
「認証カード」とはちょっと違って、
「充電課金のネットワークを構築している事業者」と考えるとわかりやすいかと。
実際は銀行のキャッシュカードのように、
相互に認証・課金が行えるように提携しているため、
ユーザーが「ネットワーク事業者」を意識することはあまりありません。
TopシェアのJCNは、既にEMP(e-Mobility Power)に吸収されており、この2者を合わせて3700基と、現在では日本の約半数の急速充電器を整備・管理しています。
ネットワーク事業者と設置施設の大体の関係を表1に整理しておきます。
そこそこ、関係が分かってくるかと。
ネットワーク事業者 | 充電器設置施設 |
JCN・EMP (東電、中電系) | 日産、ファミマ、セブン、高速SA/PA |
エネゲート (関電系) | 三菱、レクサス、トヨタ、スズキ、自治体、道の駅 |
日本ユニシス | ベンツ、ホンダ、アウディ、自治体、道の駅 |
NEC | イオンモール、ENEOS |
2.普通充電器
次に普通充電器を整理してみました。
図7は施設カテゴリ別で整理したEV普通充電器の設置基数推移です。
前項の急速充電器で、「トヨタはもっと急速充電器設置を頑張って欲しい!」的なことを書きましたが、この普通充電器ではトヨタDがさすがのダントツ1位です。ほぼ全国8割の同社Dに普通充電器が設置されているかと。
逆に、自動車Dで普通充電器を設置しているトヨタ以外のメーカーは殆ど居りません。
ここでもトヨタのハイブリッド戦略がよく分かりますよね。
自動車D以外の動きを見るために、図7で自動車Dの数字を消したのが、次の図8です。
トヨタには及びませんが、次点は大規模店舗であり、その殆どがイオンモールの数字です。ショッピングモールは30分だけの利用者(スーパーなど)も居るし、3時間規模の利用者(シネマなど)も居られると言うことで、急速充電器と普通充電器の両方が設置されていますね。
その次に普通充電器が多く設置されている施設が、ホテルやゴルフ場、パチスロ店などで、こちらも利用者が長時間滞在する施設が殆どとなります。
一方で、急速充電器の設置が多かったコンビニやガソリンスタンド、高速SA/PAなどには、普通充電器の設置は向いておらず、図からも殆ど設置されていないことがわかります(特に、普通充電器を設置しているコンビニは皆無です)。
次の図9は、トヨタコネクティッドを除いたネットワーク事業者別の普通充電器設置基数推移です。
NEC分は、殆どがイオンモールであり、最近はここにENEOSが加わって来ています。ENEOSはガソリンスタンドには急速充電器を設置していますが、大規模店舗には普通充電器の設置を進めています。
また、近年になって急速に立ち上がってきたのが、赤い文字が目立つENECHANGEの普通充電器ですね。ゴルフ場、パチスロ店、ホテルなど、大手のネットワーク事業者がなかなか進出していなかった施設で急激に台頭してきています。
こちらもネットワーク事業者と設置施設の大体の関係を表2に整理しておきます。
ネットワーク事業者 | 充電器設置施設 |
JCN・EMP (東電、中電系) | トヨタ |
エネゲート (関電系) | トヨタ、道の駅 |
ENECHANGE | ゴルフ場、パチスロ店、ホテル |
トヨタコネクティッド | トヨタ |
NEC | イオンモール、ENEOS(大規模店舗向け) |
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以上、個人的にはファミマの急速充電器設置の第二波と大規模店舗への普通充電器の拡充に注目しています。どちらも経路充電では良くお世話になりますので。
さて、我が家のリーフは、自宅のV2Hで6kWの充電が出来ているので、
経路での普通充電器でも6kWでの充電が可能と思い込んでいました。
しかし、普通充電器は「交流」での充電であり、
EVの電池に充電するためには、
車載されているAC/DC変換機能付充電器を使用する必要があります。
40kWリーフはデフォルトでは3kW対応の充電器が搭載されており、
(6kW対応の車載充電器はオプション(約10万円)で搭載可能、60kWリーフには6kWが標準装備)、
6kWでの普通充電が出来ないことが、
中古リーフ購入してからだいぶ後になってわかりました。
(最高で3.6kW=200V×18Aまでは対応とのこと)
最近、ENEOSやENECHANGEなど6kW容量の普通充電器が増えて来ており、
「6kWオプションが載っている中古リーフを探せばよかった・・・・」
と後悔していますw
では、今日はここまで!